気象予報をもう一度見直す - 2020.11.23 -

地上天気図的には

 寒冷前線が通過し、九州から北海道までを南北に 4、5 本の等圧線が横切っていました。だんだん冬らしい気圧配置となり、東北地方上空にも 26000 ft、と 34000 ft に 2 本予想されていました。

実際には

 強風軸の上に出れば、そこは対流圏界面の上、成層圏の底かと思っていたのですが、国内航空路予想断面図 (FXJP) の予報では、対流圏界面の高度は、少なくとも強風軸の南側では40000 ft 以上、北側では 25000 ~ 30000 ft と予想されていました。

 対流圏界面までは、大気の温度は高度と共に降下します。標準大気のモデルでは、1000 ft につき気温は 2 ℃程度ずつ降下し、およそ -56 ℃ となった高度 (地上気温を 15 ℃とすると、およそ 36000 ft ) が、概ね圏界面です。それ以上の高度では明確な気温の降下は止まり、概ね高度 20 Km 位まで気温の変化はほとんどないと言われます。つまり、対流が起こりにくい、成層を成しているというわけです。

 圏界面の上か下かに関わらず、30000 ft 以上では風こそ西風百数十 kts でしたが、安定した完全に冬の空の装いでした。

 地表の気温が低ければ、圏界面高度はそれだけ低くなります。強風軸を境に、北は成層圏下部、南は対流圏上部となっているはずですが、梅雨の前線で見られるような温度勾配は見られるのでしょうか。数値予報を見直してみるとこととしました。

気象庁 MSM 予報によると

 下図は、強風軸の予想高度に近い 2 つの気圧高度 (300 hPa、上空約 11900 m と 400 hPa、8600 m) の風と温度分布です。

 400 hPa では青森県上空にははっきりとした温度勾配が確かに見て取れます。北海道北西では、29000 ft で -56 ℃に達し、つまり地上気温は 0 ℃程度という予報だったということになります。

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 一方この日、300 hPa は強風軸の高度より上なので成層圏下部に当たりますが、山形県から新潟県を中心に、温度に勾配が見られます。等圧面高度には顕著な違いはないのですが、何か上空に、対流圏界面上部に暖気が存在する予報となっています。残念ですが、地上天気図の気圧配置や強風軸等からは、理由が思いつきません (泣)。

 

 地上高度 20 Km を超えると 50 Km 位までは、気温が上昇します。これは成層圏中のオゾンによる太陽光の吸収による温度上昇です。

 現在は、対流圏界面のすぐ上程度を航空機が利用していますが、近い将来は、20 Km 位までが通信中継局のフィールドとして使われることとなります。

ohigehige.hatenadiary.jp

 成層圏も名前と裏腹に、対流圏とは異なる気象の特徴があります。ユーザー目線で見ても、やはり面白いですね。

 

 福岡は今日はいい天気ですね。よい夕方をお過ごしください。

 本日も最後までお付き合いありがとうございました。