気象予報をもう一度見直す - 2021.01.12 -

東京の初雪

 一昨日、1/12 は東京都心でも初雪が降ったそうです。私自身は「小雨、ちょっとみぞれっぽいかな、」程度にしか感じなかったのですが、家族の話では、少しだけど舞ってたよ、という話でした。

 先月も今月も、大雪で高速道路に車が立ち往生、というニュースがありました。冬の東京は基本的に「晴れ、乾燥注意」の毎日なので、たまには雪の舞う景色を目にしたいと、勝手ながら思ったりもします。もっとも、誰もが雪に慣れていないので、道路に雪が積もり始めると、電車は遅れ、通勤途中の人は転倒多発、動けなくなる車も時々いるなど、雪への弱さ丸出しです。

 初めて雪が降るとすれば、大体いつも大学のセンター試験 ( 今年から共通テストですね ) 前後の頃です。大寒に向かう一年で一番寒いこの時期です。そして、その原因は南岸低気圧の影響です。

 

地上天気図的には

 日本海上、宮城県海上、そして関東南海上と、この日日本付近は低気圧のオンパレードでした。低気圧の気圧自体はそれほど低い数値ではないのですが、周囲より気圧が低いことは確かでした。

 南岸低気圧が、伊豆諸島の八丈島 ( 北緯 33 度、東経 140 度辺り ) の南を通ると関東では雪、北を通ると雨になるとよく言われます。数値予報が発達している現在、こうした目安がそのまま予報に使われることはないそうですが、精度はともかく、分かりやすさとしては、とても良い目安です。

 確かにこの日、南岸低気圧中心は八丈島南を通過していました。

 

地形の影響と滞留寒気

 関東は北と西を 2000 m 前後以上の山で囲まれているので、その地形の影響に支配されます。関東に雪が降る時には、地表数百 m の寒気層 ( 滞留寒気 ) が形成されることが多いそうです。

 低気圧が接近する時には、降水が気化する時に大気から熱を奪い、低気圧が最接近し降水が本格化した時には、冷たい降水自体により大気が冷却され、滞留寒気層が形成されます。滞留寒気層内は、大気層が冷たいままほぼ等温となっており、上空の雪が解けずにそのまま地上に到達し、地上で雪が観測されます。

 地形の影響は残る高さですが、この滞留寒気層の上端、総観場との境界付近はどのようになっているのか、調べてみることとしました。

 

気象庁 MSM 予報によると

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 上の図は、1/12 15L の 1000 hPa の等圧面高度と、950 hPa ( 地上 500 m 前後 ) の等圧面高度に応じた風の状況を図示したものです。1000 hPa、つまり滞留寒気層内に相当する高度では、地上天気図とほぼ同様の、日本海上、宮城県海上、そして関東南海上の低気圧に対応する等圧面が確かに見て取れます。

 一方、滞留寒気層の上、地形の影響は残るけれども、総観場になりつつある風には、低気圧の周囲を吹く風が見て取れます。東京都心で雪になる時には、この滞留寒気層内は、関東地方を囲む山から吹き下ろすような風、つまり北~西寄りの風となります。その時の 975 hPa ( 地上 300 m 前後、滞留寒気層上部 ) の風を図示してみました。

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 予報は、確かにそのような北~西よりの風です。

 地形による影響を含んだ予報の精度を上げようとするのは、なかなか難しいようですね。

 

 今日は折からの寒さが小休止し、ほっと一息ついた一日でした。宮崎では日中 16 ℃もありました。大陸からの移動性高気圧の力は偉大です。これが去った後は、また寒くなりそうですね。体調に気を付けたいものです。

 

 本日も最後までお付き合いありがとうございました。