陽炎の揺らめき - 2022.04.10 -

 この週末、日中は半袖がちょうど良い位の初夏の陽気でしたね。窓を開けて部屋にいても、屋外で風に吹かれても、それだけで心地良い幸せな休日が出来上がりです。

 

陽炎に揺らめくドーム

 海は私にとって、それほど頻繁に行くことのない非日常空間です。波の音を聞いて、海風に吹かれるだけで(海に入らなくても)満足です。砂浜沿いをジョギングすることが出来れば、もう何も言うことはありません。福岡市西区には、その非日常性をより一層際立たせてくれる場所があります。マリナタウン(愛宕浜地区)海浜公園です。

www.marizon-kankyo.jp

 4/10、午後一時を回り、日に日に強さを増す陽射しに砂の上では陽炎が揺らいでいました。揺らいだ先には福岡ドーム。チタンの屋根で茶色のはずですが、午後の陽射しを受けて金色めいてもいます。青い海に広がる砂浜、その先に不規則に小さく揺れて見える金茶色のドーム。このエキゾチックさは、砂漠のオアシス、あるいは遠い聖書の世界をちょっと思い出させる気がします。

 

福岡市の AMeDAS

 福岡市には AMeDAS(自動気象データ収集システム)が 2 ヵ所、福岡空港大濠公園横の福岡管区気象台に設置されています。どちらも海から遠くないものの、海岸自体のデータを観測しているわけではありませんが、海風が心地良い昨日 4/10、大濠公園横では午前 10 時から弱い北寄りの風となり、福岡空港では午後 1 時から、それまで南寄りの風から北寄りの風に変わりました。実際、午後 1時過ぎに特別航空実況報(SPECI)が発表され、滑走路は北風運用となっていました。

RJFF 090500Z 31013KT CAVOK 25/06 Q1016 NOSIG=
RJFF 090430Z 32006KT 290V360 CAVOK 24/01 Q1017 NOSIG=
SPECI RJFF 090409Z 28010KT CAVOK 24/02 Q1017 RMK A3003=
RJFF 090400Z 15009KT 130V190 CAVOK 25/04 Q1017 BECMG FM0500 32010KT

 

揺らめく先に感じるもの

 陽炎は、天気の良い日などに、日射により地面が暖められて不規則な上昇気流が発生し、密度の異なる空気が混じり合い、そこを通過する光が不規則に屈折することによって、地面から炎のような揺らめきが立ち上って見える現象で、もともと春の季語です。当然ながら、熱による上昇気流が発生している間だけの現象ですが、揺らめき、長く続くわけではないその性質は、現実における流転、あるいは無常さと親和性が高いのかもしれません。

 丈六に 陽炎高し 石の上 (笈の小文 

(石の台座の上にかつてあったであろう丈六の仏像はもはやなく、春の陽に燃え立つ陽炎が、時の仏像の面影を偲ばせるばかり…。)

 ほとんどのものは時を超えることが出来ないからこそ、たとえそれが不完全なものだとしても、長い時間を経て残るものに意味や希望を見出そうとするのかもしれませんね。

 

 本日も最後までお付き合いどうもありがとうございました。