地上の高気圧、上空のトラフ - 2022.04.08 -

朝焼けも夕焼けも素敵でしたね

 ソメイヨシノは、花びらの桜色よりも、黄緑色の葉の方がだんだん目立つようになってきました。春真っ盛り、あるいはそろそろ夏の声も聞こえてきそうな爽やかな季節がやってきました。昨日 4/9、昼間は長袖でなくても良いのでは、と感じるような気温でしたし、一昨日 4/8、東京でも、朝焼け、そして夕焼けのいずれも、息を飲むような澄んだ地平線が広がっていました。

 4/8 の地上天気図の推移を見てみると、朝鮮半島南の高気圧、そして日本海に中心を持つ高気圧が、それぞれ東南東進、東進して、東北地方以南の本州域は高気圧にどっぷり覆われている一日でした。航空機の巡航高度帯も、ほとんど揺れはなく、いかにも高気圧圏内の飛行と言う、申し分のない安定した状況でした。

 

たまには公式の解析図を眺めましょう

 いつもは気象庁の高層気象データをお借りして、自分の見たいデータを見たい形にしていたのですが、私がわざわざそんなことをしなくとも、気象庁では当然ながら、航空や海上用など、各種専門天気図を発行しています。ただ、そうした解析図にない部分や、見たい部分を強調したいという個人的希望、趣向のため、このブログでは見慣れない図でデータを眺めてきました。ということで、今回は公式の解析図を眺めて、当時の状況を振り返ってみることとします。

 過去の専門天気図は、これまでも何度か(勝手にですが)リンクを張らせて頂いた、以下のサイトからお借りしました。

www.sunny-spot.net

 眺めてみるのは、

① AUPQ 35 アジア 500 hPa 300 hPa 解析図

② AUPQ 78 アジア 850 hPa 700 hPa 解析図

③ AXJP 140 高層解析図(東経 130°、140° の大気の断面図)

の 3 枚です。(興味のある方は、4/8 午前 9 時(00Z)のそれぞれの図をご覧頂ければと思います)

 

地上の高気圧、上空のトラフ(気圧の谷)

 上空の大気の状況は、地上の高気圧、低気圧の状況がそのまま反映されるわけではもちろんありませんが、高気圧の進行方向後面はあまり安定せず、何となく揺れることが多いなど、無関係とは全く言えません。高層天気図からは、地上の高気圧や低気圧が全く窺えないとしてもです。

 4/8 は、関東から西日本は、地上では確かに高気圧圏内なのですが、上空は、日本海上空が気圧の谷となっていました(①、②)。もっとも、この上空のトラフの影響は、どうやらせいぜい秋田位までであったようで、それより南では不安定とはほぼ無縁の状況でした。そして、秋田は、概ね地上の高気圧北限に位置していました。

 もっとも、関東から西日本の全ての高度帯で揺れが無かったわけではありません。24,000 ~ 27,000 ft 辺り、気圧高度で言えば 400hPa 前後は、ジェット気流の前線帯と言えそうな高度帯であったようで、唯一、この周辺で一時的に揺れがありました(③)。もちろん、冬場のように Vertical Windshear が予報されるような、顕著な風速差があったわけではありません。また、上空のトラフは、対流圏界面であった 260 hPa を超えるとはっきりしなくなり始め、200 hPa ではほぼ見受けられなくなります。

 

400 hPa という気圧面高度 ~ この高度を振り返りたい理由 ~

 公式の専門天気図では 400 hPa は無いのですが、400 hPa 周辺という気圧面周辺の高度は、上空の前線帯の影響を受けるか受けないか、という境界となる場合が少なくなく、定時性の確保や快適性の担保という運航における実用的見地から、その状態を知りたい、再確認したいと思うことがままあります。それが、私が自分でデータを加工しようと思う理由だったりします。

 まとめると、4/8 の関東から西日本上空は、日本海上空のトラフの影響をギリギリ受けない、そして、水平方向にも鉛直方向にも風速変化の大きくない太いジェット気流の中に位置しており、それは地上の高気圧配置に概ね対応していた、と言えるのだと思います。

 

 今回も、データも図も無し、言葉だけの振り返りになってしまいました。天気は水平方向にも鉛直方向にも広がりを持つ現象なので、色々な図を見比べながら、目の前の現象にあれこれ思い巡らすことが面白いと感じるのは、やはり個人の趣向の問題でしょうか…。

 本日も最後までお付き合いどうもありがとうございました。