寒気の影響は雪だけじゃない - 2021.12.25 - 沖縄の冬の一コマ

今年も残すところ、一週間を切りましたね

 昨日午後から冬型の気圧配置が強まり、本格的に寒い時期が始まった感があります。昨日の午後、成田では、おそらく寒気が入り込んだと思われる低い雲が散在していました。東京でも今日は段違いに寒さが増し、これまでは雲一つない、澄み過ぎる位の冬空が広がる日々でしたが、同じく寒気の流れ込みと思われる雲が縮れ流れていました。

 昨晩短い間ですが、車のライトに照らされる中を何かが舞っていたのを目にしました。雨ではなかったので、もしや雪かな、あるいは気のせいかと思っていたのですが、どうやら本物の雪だったようです。26日未明、東京では 4 年ぶりとなる、12 月の初雪が観測されたことがニュースで報じられていました。 

 

強い北東風 ~ 南西諸島をすっぽり包む寒冷高気圧

 冬型の気圧配置の強まりは、日本海側の各地、そして琵琶湖から濃尾平野における降雪、あるいは太平洋側の地域において一段と冷え込む気温から実感できます。また高気圧が張り出してくるのが中国大陸方面からであるため、寒気の影響は西日本の方が顕著に思えます。しかし、航空気象という観点から他の季節との隔たり、その影響を考えた場合、あるいは南西地方にこそ、その特徴が顕著に現れているかもしれません。

 沖縄県は、冬季には、大陸から張り出す寒冷高気圧のちょうど縁に位置する場合が多く、気圧傾度が大きくなっている場合にはとりわけ、高気圧の周辺を回る北東風が強まります。昨日 12/25 も実際には 7 ~ 15 m/s の北東風でしたが、一時的には風速 20 m/s 近い風が予報されていた時間帯があったようです。風が強く、気温も 20 ℃を下回ると、沖縄と言えども暖かいとは全く言えません。

 明日 12/27 には等圧線の込んだ状態はやや緩みそうですが、大陸から張り出す高気圧の影響は引き続き、沖縄地方をはるか超え、フィリピン北部にまで及んでいることが地上天気図で予報されています、この週末の寒さがいかに強烈であるかが窺えます。

www.jma.go.jp

 

ジェット気流の南北における大気の違い

 12/25 午後 9 時の予報では、福岡~四国、紀伊半島伊豆大島上空に、高度 35,000 ft に 180 kts の強風軸を持つジェット気流が予報されていました。このジェットの南北では高層大気の状況はどのようなものだったのでしょう。那覇空港の気象の推移も合わせて見てみることとしました。

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 上図は、いつものように気象庁の高層気象データをお借りして図示した、2021 年 12 月 25 日午後 9 時における鹿児島県奄美大島、名瀬 / 本茶峠(左)および館野(右)の大気鉛直方向の気温および露点、そして風の分布です。

 一目見て、「寒気が入ってる!」と分かる訳では全くありませんが、感覚的に慣れている館野(成田から車で小一時間ですし)から見てみますと、地上は弱い北東の風、気温も 5,6 ℃でした。同日 5,000 ~ 14,000 ft 位に雲があり、雲の中では中程度の揺れ(まず間違いなく座席ベルト着用のサインがついていると思いますし、普通は誰も席を立とうとは思わない位の、それなりの揺れです)が報告されていました。この雲の上はほぼ乾燥した寒気で、280 hPa(地上およそ 9,500 m)で圏界面となっています。

 一方、名瀬は、沖縄那覇市よりはだいぶ北に位置しますが、地上 5,000 ないし 6,000 ft に雲があり、その下では北寄りの風が卓越しています。ジェット気流の南の暖気側ですので、圏界面は観測されていません。320 ~ 330 hPa(地上およそ 8,300 m)が上空の前線帯に相当すると思われます。傾向としては、那覇の気象と似ています。

 ちなみに、同日午後 8 時から 9 時の間の沖縄那覇、フィリピン・マニラ空港の気象情報は、それぞれ以下のようでした。

 

沖縄・那覇空港(ROAH / OKA) 

251200Z 01021G32KT 9999 -SHRA FEW025 SCT030 BKN045 16/11Q1025= 

251130Z 36025KT 9999 -SHRA FEW025 SCT030 BKN045 16/11 Q1025=

251100Z 36023KT 9999 -SHRA FEW025 SCT030 BKN050 17/11 Q1025=

フィリピン・マニラ Ninoy Aquino 空港(RPLL / MNL)

251200Z 110015KT 070V160 9999 FEW025 SCT100 28/23 Q1014 NOSIG RMK A2994=

251100Z VRB06KT 9999 FEW025 28/23 Q1013 NOSIG RMK A2991=

 

 那覇は気温 16 ℃程度で、低い雲から時折雨がぱらつき、北東の風風速 10 ~ 15 m/s では体感温度は一桁ですね。一方、高気圧が覆っているのはフィリピン北端までのようなので、マニラは東南アジアの気候そのものです。

 

 夏と比べて、冬は確かに行動の制約を受ける気もしますが、しかし冬には冬ならではの良さがある、凛とした冬の毎日が歳を重ねるごとに好きになっていく気もしています。とはいえ、コロナ禍でなかなか国境を越えた移動が難しくなって久しい今、暖かい東南アジアでのんびりしながら一杯飲みたいねー、と改めて思う今日でした。

 

 本日も最後までお付き合いどうもありがとうございました。