気象予報をもう一度見直す - 2020.11.01 -

地上天気図的には

 気持ちの良い秋晴れをもたらしてくれた高気圧の中心が徐々に東進し、それに伴い、中国大陸から日本海寒冷前線がゆっくり近づいてきていました。東日本から北日本の地上天気の崩れはほとんどなかったものの、高気圧の後面に位置してくるため、上空はあまりパッとしない状況が予想されました。

実際には

 対流雲と言うほどではないにせよ、衛星画像通り、比較的広範囲にわたり雲が広がっていました。雲頂高度も比較的高く、北日本ではほぼ対流圏界面と思われる、35000 ft 位まで広がっていました。もっとも、それ以上の高さでは、成層圏下部ということもあり、非常に安定した状況でした。

 21L には、山形県から宮城県上空を走る強風軸の中心高度は、34000 ft と予想されていましたが、その前線帯に当たったためでしょうか、福島県上空の 23000 ~ 28000 ft 辺りは、雲中でないにもかかわらず、比較的揺れのひどい状況でした。

気象庁 MSM によると

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 概ね強風軸の高度である 250 hPa(35000 ft)では、確かに日本海から能登半島にかけて強風帯が予報されています。ただ、福島県上空では、それほど明瞭に強風帯が見受けられません。

 一方、揺れのひどかった高度帯に近い 400 hPa(24000 ft)では、南西から西へ風向の変化があり、風速がやや大きくなる予想となっているものの、こちらも明瞭な前線帯という感じではありません。

 しかし、両高度の特徴を合わせてみると、福島県上空では、強風軸近辺の 250 hPa の高度では風の減速場となっている一方、中間高度の 400 hPa では風の加速場となっていたと言えます。鉛直方向における風の加減速の違いが、風速の違い以上の揺れが生まれた状況を作っていたのかもしれませんね。

 

 最後までお付き合いありがとうございました。