気象予報をもう一度見直す - 2020.12.08 -

 冬場れというのは、乾いた風の吹き下ろす、山の風下側に位置する場所で生活する人の感覚なのかもしれません。日本海側では曇りや雪に見舞われることは多いでしょうし、南西諸島は、高気圧の縁に位置するためか、日本の冬という点では暖かい場所だけれど、案外ぐずついた天気となることも少なくないように思います。

 

地上天気図的には

 台湾の東海上から沖縄本島南は、ちょうどシベリア高気圧圏の南端に位置するため、高気圧にどっぷり覆われる東海や西日本のような、雲一つない青空、というほどすっきりしていないこともよくあります。8 日には高気圧の南縁というだけでしたが、9、10 日には台湾南東 ~ 沖縄本島南 ~ 北緯 25 度界隈にしっかりと停滞前線が描かれていました。

 

実際には

 8 日夜、特に上空では奄美大島近くまで、湿った雲が広がっていました。南縁とはいえ、この辺りは天気図上も一応高気圧圏内だろうと思っていたのですが、実際には南寄りの風が吹いており、暖気移流が卓越していたようです。

 高気圧南縁に付近では、どのような風の場、水蒸気場が予想されていたのか、見直してみることとしました。

 

気象庁 MSM 予報によると

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 上図は、12/8 18L における、沖縄本島周辺の上空の風と相対湿度予報です。下層 (5000 ft、地上約 1500 m) では高気圧の縁を回るような風が卓越し、乾燥していると言えます。

 一方、中層、上層では西南西の風が卓越し、特に中層 (18000 ft、地上約 5400m) ではかなり湿っており、上層 (29000 ft、地上約 8900 m) でも南西から湿った大気が流れ込んでいる様子が見て取れます。

 地上天気図では沖縄本島は確かにシベリア高気圧圏内ですが、しかしこの高気圧は冷たい大気から成るため、その高さはそれほど高くないのでしょう。この日は、少なくとも大気中層程度の高度になると、高気圧の大気の上に覆いかぶさるように、南から湿った空気が流れ込むことができるような状況にあった、と言えそうです。

 地上の停滞前線はもっと南に位置していたとしても、上空では南からの暖湿気が前線の北側の寒気の上を昇り、湿った大気が雲となり前線の北側に広がっていた、と言うことですね。

 

 日曜から月曜にかけては、ふたご座流星群がピークを迎え、時同じくして、いよいよ冬らしい寒さとなるようですね。冬には冬の移ろいを味わいながら、年末に向け過ごして行きたいものです。

 

 本日も最後までお付き合いいただきありがとうございました。