気象予報をもう一度見直す - 2021.06.22 -

昨日は夏至でしたね

 昨日は夏至でした。一年で一番日の長い日ということですが、日の長さを実感した記憶は正直あまりありません。それもそのはず、日本は多くの地域でこの時期は梅雨の真っ只中です。『日常の気象辞典』(*1) によれば、夏至の頃の東京の晴天率は 21% ということです。

 

二十四節気

 二十四節気は、一年を、太陽の見かけの通り道(黄道)上の位置によって 24 等分する(定気法)季節の呼び方で、夏至はその一つです。つまり、これは気象をもとにした区分ではなく、太陽という天体の動きをもとに、地表の一地域で起こる季節的特徴、気象を抽出した分類と言えます。

 地表の一地域と書きましたが、二十四節気はもともとは、中国の黄河下流域、中原地方の気候をもとに名付けられているそうです。これらの名前が付けられた当時の気候を窺い知ることはもはや難しいですが、中原に当たる現在の地域の緯度は、日本の本州から九州と概ね同じであることもあり、季節変化が似ていたのでしょうか。時を超えて伝わる区分と言えども、現在の私たちにとっても、かなりしっくりくる季節の数え方なのだと思います。

 また、24 という数の区分が、日常生活にとっては、実に絶妙な長さであると思います。一か月を通じてあまり天気が変化したと感じないひと月もある一方、季節の移ろいを感じるひと月もあることを考えれば、2週間位を一区切りとする呼び名をつけることは、大まか過ぎず、それでいて確実に季節の移ろいを感じさせてくれるのに実にちょうど良く、絶妙としか言いようがありません。万一、一週間ごとに季節の名前がついていたら、多すぎて逆に鬱陶しいかもしれません。

 いずれにせよ、生活の中で『暦の上では』という言葉と共に語られる二十四節気は、自然の本質を捉えた季節の分け方であると同時に、私たちの生活にとてもしっくりくるからこそ、時を超えて伝わり、今も使われているのでしょう。ユネスコ無形文化遺産に登録されているのも納得です。

ich.unesco.org

 

この日、地上天気図的には

 今日は、雨こそ降らないものの、低く厚めの雲が広がり、時に雲の切れ間から日が差す、湿度が高めの、むっしりとした暑めの一日でした。雨が降らない場合の、典型的な梅雨の一日のように思えました。

 もっとも、梅雨前線は台北辺りから沖縄本島南、そして東経 140 度付近では北緯 32 度辺りにあり、本州からは離れた位置にありました。日本付近は顕著な気圧傾度の見られない場となっていましたが、日本海には 1006 hPa の低気圧が東進していました。もしかして、上空は寒冷渦となっているのかとふと思い、いつものように予報を見てみました。

 

気象庁 MSM 予報によると

f:id:ohigehige:20210622213757p:plain

 上図は、2021 年 6 月 22 日 12L における上空の 4 つの気圧面 (300、500、700、850 hP) における、等圧面と風の状況です。

 地上天気図にあった日本海上の低気圧は、上空の寒冷渦に対応したものではありませんでした。もっとも、低気圧の北側に位置する、南東進する高気圧は、300、500、700 hPa の気圧面ではっきり見て取れます。

 また、700、850 hPa 等圧面では、梅雨前線近傍に、風速 50 kts を超える、下層ジェットと思われる強風軸も予報されているように見えます。

 

終わりに

 関東地方では、特記すべき状況にはなっていなかったものの、この時期に見かける現象が所々に顔を出している、と感じたのは私だけでしょうか。

 

 本日も最後までお付き合いどうもありがとうございました。

(*1) 『日常の気象辞典』平塚和夫編 東京堂出版