立冬雑感

昨日は立冬でした

 昨日暦の上では立冬を迎えました。もっとも、東京では穏やかな秋晴れがここ何日か続いていて、今月一杯は紅葉が街中で存分に楽しめそうですが、北海道の支笏湖では、湖の遊覧船はすでに今年の営業を終えているようです。暦に違わず冬支度が始まっている場所もあります
 今年はラニーニャが予想され、結果大陸からの寒気が張り出しやすいのでしょう、寒い冬になると報じられていますが、果たしてどうなるのでしょう。今日は西から寒冷前線を伴った低気圧が東進、日本の南にも低気圧が位置し、全国的に等圧線の比較的込みいった気圧配置下にあるようですが、この寒冷前線の通過後、寒気が流れ込んで、また季節が進んだ感じがするのでしょうか。

 

最低気温の変化

 現在イギリス、グラスゴーで COP26 が開かれています。地球温暖化に歯止めをかけるべく、21 世紀中の気温上昇を 1.5 ℃以内とする目標が掲げられています。そのためには、2030 年の温暖化ガス排出量を 2010 年比で 45% 削減する必要があるそうですが、現在の削減目標では、2030 年には減少どころか、16% の増加に転じるそうです。

 目標や理想を掲げることは大切ですが、それを実現する技術や方法が見つけられなければ、残念ですが軋轢を生むだけの空論の域を出ません。個人的には、再生可能エネルギー比率の上昇に協力できればと思っています。

www.nri.com

 新しいデータではありませんが、東京都心の 11 月の最低気温の平均の変化を調べてみると、確かに平均気温は暖かくなっています (*1)。 

  1878 – 1950 年 1961 – 1990
1 – 5 日 8.7 ℃ 11.4
6 – 10 7.6 10.5
11 – 15 6.2 9.5
16 – 20 5.6 8.3

 ちなみに昨日 11/7 の東京の最低気温は朝 7 時の時点で 12.7 ℃ でした。子供の頃の記憶と比べても、確かに今の方が暖かくなっているようです。

 

活動の場となる成層圏

 私たちの生活に影響のある気象現象が起こるのも、航空機が飛行するのも、通常は対流圏と呼ばれる、大気の対流活動が起っている上空 10-12 km 位の大気層の中ですが、冬季には対流圏の上限高度(対流圏界面と言います)が下がるため、航空機は成層圏下層を飛ぶことになります。対流圏界面を超えると、気温があまり下がらなくなり、対流圏と比較し、大気の安定度が増します。成層圏下層を飛ぶ場合、全くと言っていいほど揺れない快適な飛行となることが多いです。

 立冬を迎えたということで、札幌の高層大気がどの程度冬らしくなってきたのか、見てみることとしました。

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 上図は、気象庁の高層気象データをお借りして図示した、2021 年 11 月 7 日午前 9 時における札幌の大気鉛直方向の気温と風の分布です。同日午前 6-7 時頃寒冷前線が通過したため、風は北西から西寄りとなっています。対流圏界面は 230-240 hPa (10,900 m 位) となっています。

www.data.jma.go.jp

 以前書いた、通信基地局となるグライダーが飛ぶ地上 19 km という高度は、50 hPa 周辺の成層圏です。やっぱり、技術的な解決策が生まれないと、何事もなかなか変わっていかないと感じてしまいます。

 

 本日も最後までお付き合いどうもありがとうございました。

 

(*1) 『日常の気象辞典』平塚和夫編 東京堂出版 2000