南岸低気圧 3 例 - 2022.02.19 を中心に -

今年は関東でもよく雪予報を耳にしますね

  2/19 から 2/20 にかけて、今年何度目かの南岸低気圧が関東地方南部を通過しました。今年は例年になく関東では、雪の予報警報が多く(と言っても数度ですが)出されていますが、今回に関しては、雪に関する注意といった話は何も耳にしませんでした。

 事実、雨足はそれなりに強かったものの、2/19 は午後 10 時過ぎでも気温が 6、7 ℃ありました。上空には冬の象徴とも言えそうな風速 150~200 kts を超えるジェット気流が未だ吹いていますが、地上では寒さは残るものの、その緩みを感じさせる、乾いた空気を潤す春の雨の様相でした。冬の終わりを確かに思わせる一時です。

 南岸低気圧は、関東に雪をもたらすのか、あるいは雨となるのか予報が難しいという話をよく耳にします。低気圧の通過経路、上空の寒気、そして地表付近の滞留寒気の状況等によるためとの事です。ということで、今シーズンの南岸低気圧通過時の大気の鉛直方向の状況を見比べてみることとしました。

 

南岸低気圧 3 例

f:id:ohigehige:20220221004012p:plain

 上図は、いつものように気象庁の高層気象データをお借りして図示した、2022 年 1 月 6 日午前 9 時(左)、2 月 13 日午後 9 時(中央)および 2 月 19 日午後 9 時(右)における館野の大気鉛直方向の気温および風の分布です。

(1/6 については、過去の記事『雪が積もれば大騒ぎ - 2022.01.06 - 都心に雪を降らせる南岸低気圧でも扱っておりますので、ご興味のある方はどうぞ。)

 各日の地上天気図は気象庁の過去の天気図をご覧頂くとして…、

www.data.jma.go.jp

高層気象の観測値を見ると、雪か雨かの違いは、上空の寒気の状況ももちろんあるのでしょうが、一義的には、地表付近の気温で決定されることが分かります(雪あるいはみぞれとなった左 2 例は地上付近の気温が 0 ℃、右 19 日は 5 ℃ほどです)。上空3,000m(700 hPa)、5,500m(500 hPa)の気温を見ても、有意な差は見受けられません。

 湿った重い雪、あるいはふわっとした軽めの雪かについては、気温と露点温度の差、湿数で決まるのかもしれませんが、上の 3 例では何とも言えませんね。みぞれ、雨だった右 2 例では気温と露点温度がほぼ同じだったことは分かります。次の機会で調べてみたいと思います。

 

雨水(うすい)

 2/19 はまた、二十四節気の雨水でした。「あまみず」と読んでしまうと風情が無く、全く残念ですが、「うすい」と読むと俄然季節の節目感が出てきます。立春から半月余り、降る雪が雨に変わり、氷が解けて水となる。それを直感的に感じられる季節名です。

 とはいえ、二十四節気の元となっている中国中原の気候が当てはまるのは、日本では東北地方南部から九州に限られるかもしれないと、特にこうした季節の変わり目には改めて感じます。

 

 低気圧の通過に伴い、昨日 2/20 はまた冬型の気圧配置が強まり、風が冷たく感じられた日になりましたね。

 本日も最後までお付き合いどうもありがとうございました。