雨上がりの霧 -2022.04.25 - セントレア~西日本

GW 目前はそろそろ秒読み?、梅雨

 雨は上がりましが、空模様はあまりすっきりしませんね。不快に思うほどの湿度ではありませんが、日中の気温が徐々に高くなっていることもあり、身体を動かすとむっしりとした暑さを覚えます(東京の話です)。

 この数日、本州はちょうど前線を伴った低気圧の通り道になっていることもあり、晴れが長続きしませんが、地上天気図に描かれる前線の位置を見ていると、明日 4/28 には、九州南部~八丈島南に、梅雨の気配を感じさせる東西に長々と伸びる停滞前線が描かれています。沖縄や奄美地方と言えども、今年はまださすがに梅雨入りしていませんが、両地方における昨年令和 3 年の梅雨入りは 5/5、そろそろ梅雨入りも間近そうですね。

www.data.jma.go.jp

 

雨上がりの霧

 立ち上る霧、たなびく霞。雨上がりには、様々な人が詠じた情景が広がりますが、霧もそうした景色の一つです。摩周湖、ロンドン、霧で有名な場所には色々あるかもしれませんが、その中には、一部の空港も挙げられます。もちろん、年中あるいは四六時中霧に見舞われるわけではありませんが、時々そういうことがあります。おととい 4/25 朝は、そんな稀な朝となりました。

 前日 4/24 は、停滞前線上を東進する低気圧の影響を受け、中部国際空港セントレア)では日中雨が降り続きました。雨は夜には上がりましたが、日中の雨のため、湿気満載で夜を迎えました。そして明け方、4/25 午前 7 時前後に見通し距離が最も悪くなり、その後日照と共に解消してゆきました。興味深いのは、この日、中部国際空港のみならず、西日本の多くの海沿いの空港(大分、長崎等)で、稀に見る低視程が報じられた日となったことです。中部国際空港の当時の気象通報は以下のようでした。

 

METAR RJGG

4/25 午前 5:30 - 8:00

242300Z 27003KT 3200 BR FEW010 17/17 Q1015 BECMG 6000 NSW=
242230Z 27004KT 1600 R36/1800U PRFG BR FEW000 16/16 Q1015 BECMG 4000 BR=
242200Z 24003KT 0600 R36/0150N FG FEW000 16/15 Q1014 BECMG 3000 BR= 
242130Z VRB01KT 0900 R36/0125V0550D FG FEW000 SCT030 16/16 Q1014 BECMG 3000 BR= 
242100Z 36003KT 0600 R36/0350V0550N FG FEW001 SCT030 15/15 Q1013 BECMG 1500 BR=
242030Z AUTO 33004KT 1300 R36/1400V2000U BR BKN030 BKN042 15/15 Q1013

4/24 午後 10:00 - 4/25 午前 3 時

241800Z AUTO VRB02KT 1800 BR FEW026 BKN032 BKN046 16/16 Q1012 NOSIG=

241500Z AUTO 30002KT 3200 BR BKN049 16/16 Q1012 NOSIG=

241400Z AUTO 34004KT 4800 BR FEW036 BKN050 15/15 Q1012 NOSIG=

241300Z 31003KT 7000 FEW009 SCT012 BKN025 16/16 Q1012 TEMPO 4000 BR FEW004 BKN008

 

 夜半から早朝に向け、徐々に視程が落ちています。おそらく海に比べてやや温度が低くなった陸からの風が、やや暖かい海上から発生する水蒸気を冷やしたことで、視程を落とすこととなったと思われます。風は確かに微風でしたが、一晩という時間をかけ、明け方に向け視程は落ちて行きました。そして午前 5 時過ぎに日の出を迎え、陽の光の反射などを受け、日の出から 2 時間後に視程は最低値を記録し、しかし日射と共に地表が暖められることにより、霧は解消してゆきました。

 

 ちなみに長崎では以下のようでした。

SPECI RJFU 242210Z VRB02KT 0300 R32/0500VP2000D FG VV002 15/15 Q1014 RMK A2995=   
SPECI 242208Z VRB02KT 0400 R32/0500VP2000D FG VV002 16/16 Q1014 RMK A2995=

241200Z VRB02KT 9999 FEW030 18/17 Q1012=

 

蒸発(蒸気)霧と海の塩

 霧はその発生原因によって、放射霧、前線霧、蒸発霧など 4、5 種類に分類されます。先に書いたように、今回の場合には、ただでさえ飽和していた大気に、さらに海の水蒸気が流れ込むことで起こったと考えられます。そして、日射により空港の路面が温まり、海からの水蒸気の流れ込みが止まり、大気の飽和水蒸気量が大きくなり、朝霧は解消へと向かいました。

 また、海面上には水蒸気の核となる塩分が十分あることもあると思われます。

 中部国際空港にも、低視程になった時に運航を行う地上設備が完備されてはいますが、このような気象状況を目にしたのは、個人的には 2 度目でしかありません。地元に住んでいる方も、霧で車を運転するのにこの日のように気を遣ったことはあまり記憶にない、と話していました。

 

朝霧は晴れ

 朝霧は晴れ、という言葉通り、4/25 は青空に恵まれました。日中晴天に恵まれる霧は、正確には放射霧の場合のみですが、放射霧が出来るのは、雨の後、放射冷却が起こるような晴天域が近づいてきているためです。

 霧が天気の変化の彩りであるうちは素敵ですが、自然現象の程度が激しくなりつつある近年、災害や不安全事象の遠因になって欲しくないものですね。

 

 本日も最後までお付き合いありがとうございました。