気象予報をもう一度見直す - 2020.10.12 -

はじめに…

 今日東京では、午後になってようやく本格的に晴れ間が覗いてきました。昨日一昨日、台風 14 号通過後、文字通り台風一過の晴天に恵まれた大阪や愛知とはどうも違い、今月東京では、秋の晴天にはもちろん恵まれているものの、見上げると目を細めたくなる抜けるような青空は、愛知以西に比べるとやや少なめのような気がします。

  例えば、国内悪天予想図(FBJP)でも、悪天が予想されているわけではないものの、本州が弱いトラフ場のようになっていることを窺わせる状況が今月はしばしばあり、事実、見た目の爽やかさほどの大気の安定性を感じないことがありました。

 台風 14 号は太平洋高気圧の西縁を沿うのではなく、北東縁を辿っているようだと昨日の記事で書きましたが、毎日の天気図

www.data.jma.go.jp

を見ていると、南の太平洋高気圧と同様、東経 150 ~ 160 度辺りの高気圧の動きも関係がありそうなので、どんな数値予報が出ているのか、図示してみることにしました。

 

目次

はじめに

1.メソモデルと全球モデル

2.気象庁GSM 予報によると

3.勝手な疑問

 

1.メソモデルと全球モデル

 いつも使っている MSM は 5 km メッシュで対象領域を予報する代わりに、東経 150 度辺りまでしか予報が得られません。ということで、今回は全球モデル(GSM)を使用しました。GSM は全球が予報範囲となる代わりに、20 km メッシュの予報となります。数値モデルにどんなものがあるのか興味のある方は気象庁の HP をどうぞ。

www.jma.go.jp

 

2.気象庁 GSM 予報によると

 

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 上図は、10/12 09 L の予報を図示したものです。普通こういうデータの重ね方はしないと思いますので、順番に見てみたいと思います。

 黒の実線は 850 hPa における気圧の等高線です。850 hPa は地上からおよそ 1500 m の高度で、地表の摩擦の影響がほぼなくなる高度と言われます。気圧の高低を見ようとしており、概ね地上天気図の気圧の線と同じように見て頂ければと思います。

 台風 14 号は 北緯 30 度、東経 142 度付近に位置しています。台風の東には太平洋からアリューシャン列島、ベーリング海へとリッジが伸びています。地上天気図にある東経 150 ~ 160 度の高気圧は、このリッジの下に対応していると思われます。台風の西に目を向けると、中国本土から高気圧が張り出しています。

 この高気圧部がどの程度の背の高さがあるのかを見るために、 700 hPa(地上からおよそ 10000 m) の高度を重ねてみました。太平洋上および中国本土からの高気圧部がよりはっきりと見分けられます。要するに、この2か所は高気圧の勢力が強いということです。同時に、台風はこの二つの高圧部の間をすり抜けるように迷走気味とも言えそうです。

 最後に、強風軸(いわゆるジェット気流)が予想されている高度に近い、上空の風(250 hPa 地上からおよそ 13600 m)を重ねてみました。これほど高い高度に至っても、太平洋上のリッジに沿うように風が吹いているところを見ると、太平洋高気圧の影響は西にというよりは、北へ勢力が強い状態となっているものと思われます。

 

3.勝手な疑問

 台風 14 号が通っている場所は、本来東西の高圧部がつながっていたはずの部分が、何かの理由でちぎれたのでしょうか。あるいは、太平洋高気圧の中心が東にずれているのでしょうか。夏から発生しているラニーニャの影響もあるのでしょうか。実際の現象を見ても、予報を見ても、天気の奥行きを感じずにはいられません。

 

最後までお付き合いありがとうございました。