何を解とするのか ~ 近未来のデザイン ~

ついに節分ですね

 風の冷たい時はありますが、東京では日差しに暖かさが増しているのを確かに感じます。ダウンジャケットを着たまま体を動かすと、もう少し薄いものでも良いかも、と思うこともある位です。

 

ISS の引退 ~ LEO における世代交代? ~
 まだ 8 年ほど先ですが、国際宇宙ステーションの利用を 2030 年で終了し、31 年 1 月に太平洋に落下させるそうです。

www.cnn.co.jp

 30 年間利用するとすれば、技術自体何世代も新しくなるでしょうし、維持管理にもそれなりのコストがかかるとすれば、寿命とするのは妥当な判断なんでしょうね。あるいは普通の家と同じで、もしかしたら老朽化も見過ごせなくなるのでしょうか…。

 地上 2,000 km 以下の地球を回る衛星軌道を LEO(Low Earth Orbit)と呼びますが、ISS は地上約 408 Km、大気区分で言えば熱圏を周回していることになります。ですが、近年はいくつもの民間企業がすごい数の通信衛星などを LEO に打ち上げているので、上の記事にもあるように、国家がコストをかけて ISS のようなものを主導する積極的な理由が見つけにくくなったのかもしれません。 

 

HAPS ~ 次は成層圏です ~
 Softbank の出資する HAPS Mobile や Airbus と NTT Docomo が共同で取り組んでいる HAPS(High Altitude Platform Station)通信のどこが気になるかと言えば、以前『成層圏を舞うグライダー』でも書きましたが、その Platform に使われているグライダーの形状です。

www.airbus.com

 成層圏に到達するという点では、気球や飛行船といった形態が既にあります。ですが、太陽光発電による電力をその動力源とし、地上から制御して platform が無人であるという点、空気密度の薄い空間を揚力を使って飛ぶ Glider は、確かにそうなるだろうなというものではありますが、やはり未来的であり、ある意味アニメ的な形状です。

 もっとも、成層圏にグライダーを飛ばして通信局とするといっても、地上からの中継局(repeater)にするのか、あるいは基地局(base station)にするのかで HAPS に必要とされる要件も変わるようで、ニーズやコストに合わせて決まって行くようです。

 試みに、HAPS Mobile の使用した HAWK30 と、Airbus の Zephry S の大きさは以下のようでした。

 HAWK30  全長約 78 m  プロペラ 10 個 飛行速度約 110 km/h

 Zephry S  翼幅  25 m 重量 75 kg 以下

 求めている条件が異なるのでしょうけれど、結構違うものですね。ちなみに、ジェット機の Airbus 320ceo は以下の通りです。

 A320 ceo  翼幅 34.1 (35.8) m 最大離陸重量 66 - 77 ton

利用される環境が違うので、実に愚かな比較ではありますが、全く別物ですね…。

 

何を解とするのか ~ 近未来をデザインする ~

 現在は、これまで夢物語であった話を実現可能とする諸技術が、色々な分野で結実し利用可能となりつつある瞬間なのかもしれません。

 何を解とするのか、目標とするのかについては、それを求める人間が試行錯誤するしかありませんが、その解の実現のためにイメージを描いてみることは、技術が確立しつつある現在、どんどん大切になって行くのだろうと思います。

 新しい分野で一つの合理的解を求めた結果、人間自身が何年もかけてミスの無いように訓練を重ね、運用することは合理的でない、という判断をするようになる時代が、あるいは遠からず来るのかもしれません。

 もちろん、人間が行うことにしかお金を払わないという人も一定数有り続けることは間違いないと思いますし、人間が行うから価値があるというものもあり続けるでしょう。それでも、数十年後に 2022 年を振り返った時、一つの分水嶺となった時期だった等と思うことになるのでしょうか。前回、気象の側面を捉えて『始まりなのか、それとも終わりなのか?』と題したところですが、現在のこの時代にも当てはまるのかもしれないと思ったところです。

 

 それにしても、成層圏 Platform の話は本当に面白いものです。ということで、新しくカテゴリーを作って、推移を色々見て行くこととしました。

 本日も最後までお付き合いどうもありがとうございました。