成層圏を舞うグライダー
成層圏を Solarglider が飛んで、それが通信基地局となる。色々な意味でブレイクスルーを感じさせる、久しぶりにワクワク感の止まない話だ。
目次
1.近くて遠い空間
2.成層圏の大気
3.見通し距離は
1.近くて遠い空間
地上 15 km 以上の空は、やはり近くて遠い空間だ。もちろん、宇宙空間ではない。ビジネスジェットであればぎりぎり 15 km 位まで上昇することは出来るけれど、通常のジェット機はせいぜい 12 km 程度の高度しか飛ばない。オゾン層や電離層、オーロラなどの舞台であり、日常生活に無縁では決してないが、人工衛星が飛び交うように利用されているわけではない。
成層圏は、近くて遠い空間の中では最も地上に近いが、これまでの商用技術では、あまり使い勝手の良くない場所であったことは否定できない。気圧が低い分だけ、飛行機が揚力を得るには工夫がいるし、揚力の問題は、ペイロードや素材への問題へ直結する。人間が快適に過ごす与圧空間を作るという点でも制約が増えるし、化石燃料を燃やす場所としても、環境負荷が大きすぎる。
Sunglider のワクワクするところは、全く別のアプローチで色々なものがまとめ上げられている点、色々な分野の技術の蓄積がブレイクスルーになっている点だ。太陽光発電で無人、ペイロードがそもそも軽い。個々の量産可能な技術が絶妙にまとめられるようになった今、実現の機会を逃さなかったことにただただ驚くばかりだ。
2.成層圏の大気
地上の天候の影響を受けない、成層圏が対流圏に比べて安定しているということは分かりますが、今回 Sunglider が飛んだ地上 19 km はどんな大気の状況になっているのでしょう。想像がつかなかったので、気象庁の GSM 予報データをまた拝借することとしました。
上から、地上26,7 km(20hPa)、今回 Sunglider が到達した地上 19 km(70 hPa)、参考に今日の日本付近の強風軸および対流圏界面付近の 12 km弱(200 hPa)を図示してみました。



成層圏の等高線分布や風の状況など、これまであまり見たことがないので何とも言えませんが…、20 hPa で太平洋の南北端に高圧部があるのは何故なのでしょう。対流圏とは違う現象もあるようなので、おいおい調べてみようかと思います。
3.見通し距離は
先日書いた FM 電波の見通し距離の式を使って、電波の到達距離を求めてみると、
4121 x √(19,000 m )= 568 km !
となります。中継局ならばすごい数の端末を相手にすることになりそうですね。通信処理が大変そうですが、broadcast するならば、おそらく飛行機と変わらない技術でさらに広範囲をカバーできますね。
グライダーと名付けられているだけあって、何よりもそのフォルムがCommercial Jet とは違うしなやかさを感じさせます。新しいフィールドを切り拓くものが、ごつごつした技術の塊と言うだけでなく、その機能から滲み出る美しさのようなものを備えていたら、やっぱりその後を期待せずにはいられません。
最後までお付き合いありがとうございました。