5G と航空機

歴史もニュースも繰り返す?

 歴史は繰り返す、としばしば言われます。たとえ時代が変わっても、人間の行動傾向、原則が短期間には大きくは変わらないから、というのがその理由だからだと思います。ですが、果たしてこれは、理詰めで作り上げられる技術にも当てはまる話なのでしょうか。ちょっと気になるニュースを見つけました。

news.livedoor.com

 50 空港という数からすると、おそらく各州の大空港が対象になっていそうだと思い、FAA の発表するリストを見てみることとしました。

 

FAA は 5G の何を懸念しているのか

 FAA (アメリカ航空局)は、5G と Aviation Safety の特集サイトを作っています。昨年 12 月から結構な頻度で声明も発表されており。5G と航空の安全に懸念を示していることが窺えます。

 もっとも、同サイトには、5G はフランスや日本でも既に展開されて問題がないのに、なぜアメリカでは問題なの?、といった Q&A も出ています。

www.faa.gov

 上のサイトに 50 空港のリストが出ていますが、サンフランシスコ(SFO)やロサンゼルス(LAX)、ラスベガス(LAS)、シカゴ(ORD)、ニューヨーク(JFK、EWR)等、日本から飛んでいる就航先も少なからずその対象となっています。

 では、アメリカではそもそも 5G の何が問題なのでしょうか。

 

5G C-Band と呼ばれる周波数帯

 (同サイトの Resource を眺めた私の拙い理解ですが)結論だけ言えば、航空機に搭載されている、4,200 - 4,400 MHz の周波数帯を使用する電波高度計(Radio Altimeter)に、5G C-Band として使用する 3.7 - 3.98 GHz の周波数帯の通信が干渉して、悪影響を及ぼす恐れがあるということです。 

 

電波高度計とは

 航空機には高度を測定する計器が 2 種類有ります。一つは気圧をもとに高度を測定する方法、もう一つは、電波の反射により地表からの高度を測定する方法です。

 大気は気圧や気温の変化で伸び縮みするので、気圧高度はある意味、航空機同士の間隔を担保するためのものです。例えば、37,000 ft を維持していても、温度が高い地域を飛ぶ時には、地上からの実際の高度は相対的に高く、温度の低い地域を飛ぶ時には相対的に低くなります。その意味で、高度はやや相対的です。

 一方電波高度計は、電波の伝わる速度を一定と見なし(厳密には大気の影響を受けますが)、絶対的距離を測定します。そのため、電波高度計の情報は、離着陸前後の、低い高度で航空機の多くのシステムに使われます。当然ながら、異常値や誤作動は望ましいものではありません。後にご紹介しますが、過去には、エンジンの出力が勝手に絞られ、墜落に至ってしまった例がありました。

 現在、干渉の悪影響がすでに出ているのかどうかは分かりませんが、10 年ほど前には、航空機の運航で『EMI』が原因と思われる誤動作等が騒がれました。

 

EMI(Electromagnetic Interference : 電磁干渉)

 EMI 自体は特に新しい話ではありません、思いつく例を挙げれば、アナログ波でテレビを受信していた頃に、建物などによるマルチパスが原因で受信画像がダブって見えたり、最近では、電子レンジを作動させた時、その側では Wifi 接続が切れたり不安定になる場合がある、等があります。電子レンジと Wifi が同じ 2.4 GHz 帯の電磁波を使用するため、それらが干渉するのです。また、私個人は経験ありませんが、電子機器や回路が誤作動する場合もあるそうです。

 2010 年頃話題になった電波高度計の誤作動は、ほとんどが Airbus 機で発生していました(アムステルダムにおける B737 の例もあります)。以下は、ICAO(国際民間航空機関)と Airbus 社の当時のまとめです。ご興味のある方はどうぞ。

ICAO : Airbus Erroneous Radio Altitudes

https://www.icao.int/safety/acp/ACPWGF/ACP-WG-F-25/ACP-WGF25-IP07_Appendix2_FMG15%20PPT02%20Airbus%20Erroneous%20Radio%20Altitudes.pdf

Airbus : Radio Altimeter erroneus values

https://safetyfirst.airbus.com/app/themes/mh_newsdesk/documents/archives/radio-altimeter-erroneous-values.pdf

 

ちなみに 5G はどんな周波数を使っているでしょう

 5G については、様々なサイトで多岐にわたって詳細に説明されていますが、先に述べたように、日本ではどうして 5G 通信と航空機のシステムの話が出ないのかを明確にするべく、日本で使われている 5G の周波数を簡単にまとめてみました。

 まず、5G と言っても以下のように 2 種類あります。

① Sub 6 波(3.7 GHz および 4.5 GHz)

 4G が 3.6 GHz を使っていて、それに近い周波数帯であるため、4G の技術が転用できるそうで、そのため今使用している 5G はこちらだそうです。個人利用するには、今のところ十分そうですね。

② ミリ波(28 GHz)

 5G の特徴としてよく耳にする、超高速、大容量、超低遅延などはこちらが実現する可能性を多く持っています。インフラとして普及すると、社会全体としてまた一歩前進しそうですね。

 つまり、日本では電波高度計と干渉する周波数帯を使っていないから問題ない、ということですね。実現する技術と足並みをそろえて考えて行くのでしょうが、周波数の選定、割り当て自体で、その後の解決課題の多寡が決まるとすれば、よくよく検討する必要があるのだなあと、今更ながら感じた次第です。

 

 書き始めた時には全くそのつもりはなかったのですが、今回はめちゃめちゃ堅い話になってしまいました。自分でもちょっと頭が痛くなりました(疲)。

 本日も最後までお付き合いどうもありがとうございました。

雪が積もれば大騒ぎ - 2022.01.06 - 都心に雪を降らせる南岸低気圧

 今日は七草の日、年が明けてはや 1 週間が経ちます。年末年始は、働いていても休みでも、時間があっという間に過ぎて行きます。3が日も駅伝の結果を追いかけているとすぐ過ぎていきますし…。ということで本年もぼちぼち綴っていこうと思っております。

 

東京都心に雪を降らせる南岸低気圧

 積もる雪となるだけで、これほどニュースになる場所も日本では少ないかもしれませんが、東京都心は雪の積もることがその位稀な場所です。とはいえ、5、6 年に一度は結構積もることもあります。何年か前(たしか 2014 年でしょうか)には都心でも数十センチの雪が積もり、道路や交通機関が一時的に機能しなくなったことがありました。出社できなくなったこともあり、道路の雪を雪かきして、その雪で近所の子も交えて雪だるまを作って過ごした、何となく懐かしい記憶もあります。今は、テレワーク推進中の世の中なので、影響を受ける方も、もしかしたらかつてほどではないかもしれませんね。

 関東南部で積もるような雪が降るのは、本州南岸を低気圧が東進する場合で、一般に「南岸低気圧」と呼ばれます。低気圧が通過するので天気が悪いことは容易に予想がつくのですが、雨で終わるのか雪になるのかは結構予報が難しいそうです。関東南部では、低気圧が八丈島の北を通過すると雨、南を通過すると雪の可能性が高いとも言われますが、離れすぎると降水の影響自体が当然なくなります。また、地表付近の寒気層の形成の影響も受けるため、雪かどうかの判断は難しいそうです。(南岸低気圧、と検索すれば色々な解説、説明がヒットしますが、例えば Wikipedia の説明をどうぞ)

ja.wikipedia.org

 

飛行機が雪に弱い 2 つの理由

 積もるような雪が降ると、飛行機の運航はいとも簡単に乱れます。まず、飛行機には車と違って雪道用タイヤやチェーンはありません。つまり、どんな状況になっても、年中ノーマルタイヤを履いています。そのため、空港の滑走路、誘導路に雪が積もると、たちまちカメのごとくノロノロ走行になります。加えて、翼の上に雪が積もると、飛行機が浮揚するために必要な揚力が得られなくなるため、雪を一定時間積もりにくくする防氷液をまいてから出発します。当然、その作業に多少時間がかかります。飛行機は、この 2 つが原因で、雪の影響が簡単に出てしまう乗り物です。

 かくして、そうした時間がほぼ考慮されていない路線で雪が降ると、遅れは避けられず、また取り戻せず、飛行機繰りが出来なくなり、結果欠航する場合も出てきます。事実、昨日は羽田や成田で遅れや欠航が出ていました。

 羽田では、ちょうどお昼前頃から SPECI と呼ばれる空港の気象状況の特別実況の発表が相次ぎ、雪が目立ってきました。その頃の状況を見てみましょう。

 

RJTT 060345Z 36009KT 1400 R34L/P2000N R22/P2000N R34R/2000N R05/P2000N -SN FEW005 SCT009 BKN013 01/M01 Q1022 RMK 1ST005 3ST009 6SC013 A3018=
SP

060333Z 01009KT 1300 R34L/1800N R22/2000N R34R/1500VP2000D R05/1900N -SN FEW009 BKN013 01/M01 Q1022 RMK 1CU009 7SC013 A3018=

060330Z 01010KT 1300 R34L/1800D R22/2000N R34R/1800D R05/1900N -SN FEW009 BKN013 01/M01 Q1022 NOSIG=

060317Z 01009KT 1500 R34L/2000N R22/P2000N R34R/P2000N R05/P2000N -SN FEW010 BKN015 01/M01 Q1022 RMK 1CU010 7SC015 A3018=

060311Z 01008KT 330V040 2000 -SN FEW010 BKN015 01/M02 Q1022 RMK 1CU010 7SC015 A3019=

060300Z 01008KT 3000 -SN FEW015 BKN020 01/M02 Q1022 NOSIG=

 

 METAR と呼ばれる空港の気象実況は通常、毎時 0 分、30 分にしか通報されませんが、特別実況が結構な頻度で発表されています。そして、この気象状況は午後 6 時頃まで続きました。この 6 ,7 時間ほどの間の高層気象観測は残念ながら無いのですが、その少し前はどういった状況だったのでしょうか。午前 9 時における館野と八丈島のゾンデ観測を見てみることとしました。

 

低気圧は遠くにあれど、雪は降る

 まず、2022 年 1 月 6 日午前 9 時の地上天気図を見ると、南岸低気圧の中心は、北緯 30 度東経132,3 度あたり、四国は足摺岬南の海上にあります。羽田で特別実況が出た正午にも東経 134,5 度辺りに位置し、こんなに離れていても関東南部では雪が降るのかと思ってしまいます。雪の降りが軽くなり始めた午後 6 時に、低気圧中心は北緯 31 度東経 138 度辺り、伊豆半島海上に位置していました。確かに、南岸低気圧中心は、今回八丈島南を通過しています。低気圧の中心気圧も 1012 hPa で、台風やいわゆる発達した低気圧の際に警戒されるような数値でもありません。

 つまり、低気圧やそれに伴う温暖前線自体の活動というよりも、降雪は、地形との相互作用で理解するしかなさそうです。同時刻帯の衛星画像を見ても、当然ながら暗めの雲、つまり雲頂高度の高くない雲画像が映っているだけなので、八丈島はともかく、地理的にやや離れた館野の高層気象データをみてもあまり有意なものは得られそうにありません。ですが、一応確認してみることとしました。

f:id:ohigehige:20220107145529p:plain


 上図は、いつものように気象庁の高層気象データをお借りして図示した、2022 年 1 月 6 日午前 9 時における館野(左)および八丈島(右)の大気鉛直方向の気温および露点、そして風の分布です。

 このデータから分かるのは、大気中層以上の高度(550 ~ 350 hPa)まで雲が広がっていたこと、館野では気温が 0 ℃前後なので、降水現象があれば、雪となること位でしょうか。八丈島上空では、西風が 160 kts 以上吹いており、低気圧が足早に東進したこともうなずけます。

 残念ですが、少なくとも私には、東京で雪が降ってもおかしくない典型的な気圧配置だった、という程度しか分かりません。高層大気のデータを見た意味があったとは、お世辞にも言えませんね(泣)。

 

打たれ、打たれて、抗わず…

 天気による影響が、私たちの生活に様々な爪痕を残すことが多くなっているように思える昨今ですが、そうした悪天自体は、半日もすれば、何事もなかったかのように過ぎ去って行きます。悪天の影響を克服すべく努力することは確かに必要ですが、抗わなくとも去ってゆくものも確かにあります。それはもしかしたら天気に限らないのかもしれません。

 十数年前、異動した部の人達と温泉に行った時のことです。瀧湯に打たれながら何とも言えない様子で心地良さそうにしている先輩がいました。当時は、なかなかゆっくり来ることが出来ない温泉を存分に楽しんでいるとしか思わなかったのですが…。時が経ち、その先輩と同じ位の齢になったかと思います。私にも、その心地良さが分かってきたのかもしれません。赤く腫れてるけど大丈夫かと、子供に心配されながらも笑われる自分がいました。

 良いことも、そうでないことも、やり遂げたことも、ぐっと頑張ることも、それは充実をもたらしてくれると同時に、身体には負荷なのでしょう。歳を重ねるということは、負荷がかかり続けることで、その負荷とは、月並みに言えば、人生の疲れと言ってもよいのかもしれません。

 別に何か壮大な目標や目的があって負荷を重ねてきたわけではありません。けれど、折り重ねてきた負荷が、もし何かの役に立っていたとすれば、それはなかなかまんざらでもない、そう思えた瞬間でした。打たれて、ひたすら打たれ続け、抗わず何もしないけれども澱が氷解してゆく確かな実感というものも存在するのです。

 雪で騒いでいる関東のこと等つゆ知らず、その時、不規則ながらも一定のリズムで落ちてくる瀧湯に私は打たれ続けていたのでした。

www.hyotan-onsen.com

 仕事の都合どうしてもこの日に帰る必要があったのですが、遅延や振り替え手続きの人たちで混みあう空港で、ひととき途方に暮れたことは言うまでもありません。でも、そうです。そういう時もあります。夜遅くたどり着いた自宅周辺の路面は、そこかしこに雪の名残があり、その融けたあとが凍結していました。今日は、屋根などあちこちに残る雪に太陽の光が反射して、いつもにも増して明るく、そして青空が綺麗です。

 

 本日も最後までお付き合いどうもありがとうございました。

 

寒気の影響は雪だけじゃない - 2021.12.25 - 沖縄の冬の一コマ

今年も残すところ、一週間を切りましたね

 昨日午後から冬型の気圧配置が強まり、本格的に寒い時期が始まった感があります。昨日の午後、成田では、おそらく寒気が入り込んだと思われる低い雲が散在していました。東京でも今日は段違いに寒さが増し、これまでは雲一つない、澄み過ぎる位の冬空が広がる日々でしたが、同じく寒気の流れ込みと思われる雲が縮れ流れていました。

 昨晩短い間ですが、車のライトに照らされる中を何かが舞っていたのを目にしました。雨ではなかったので、もしや雪かな、あるいは気のせいかと思っていたのですが、どうやら本物の雪だったようです。26日未明、東京では 4 年ぶりとなる、12 月の初雪が観測されたことがニュースで報じられていました。 

 

強い北東風 ~ 南西諸島をすっぽり包む寒冷高気圧

 冬型の気圧配置の強まりは、日本海側の各地、そして琵琶湖から濃尾平野における降雪、あるいは太平洋側の地域において一段と冷え込む気温から実感できます。また高気圧が張り出してくるのが中国大陸方面からであるため、寒気の影響は西日本の方が顕著に思えます。しかし、航空気象という観点から他の季節との隔たり、その影響を考えた場合、あるいは南西地方にこそ、その特徴が顕著に現れているかもしれません。

 沖縄県は、冬季には、大陸から張り出す寒冷高気圧のちょうど縁に位置する場合が多く、気圧傾度が大きくなっている場合にはとりわけ、高気圧の周辺を回る北東風が強まります。昨日 12/25 も実際には 7 ~ 15 m/s の北東風でしたが、一時的には風速 20 m/s 近い風が予報されていた時間帯があったようです。風が強く、気温も 20 ℃を下回ると、沖縄と言えども暖かいとは全く言えません。

 明日 12/27 には等圧線の込んだ状態はやや緩みそうですが、大陸から張り出す高気圧の影響は引き続き、沖縄地方をはるか超え、フィリピン北部にまで及んでいることが地上天気図で予報されています、この週末の寒さがいかに強烈であるかが窺えます。

www.jma.go.jp

 

ジェット気流の南北における大気の違い

 12/25 午後 9 時の予報では、福岡~四国、紀伊半島伊豆大島上空に、高度 35,000 ft に 180 kts の強風軸を持つジェット気流が予報されていました。このジェットの南北では高層大気の状況はどのようなものだったのでしょう。那覇空港の気象の推移も合わせて見てみることとしました。

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 上図は、いつものように気象庁の高層気象データをお借りして図示した、2021 年 12 月 25 日午後 9 時における鹿児島県奄美大島、名瀬 / 本茶峠(左)および館野(右)の大気鉛直方向の気温および露点、そして風の分布です。

 一目見て、「寒気が入ってる!」と分かる訳では全くありませんが、感覚的に慣れている館野(成田から車で小一時間ですし)から見てみますと、地上は弱い北東の風、気温も 5,6 ℃でした。同日 5,000 ~ 14,000 ft 位に雲があり、雲の中では中程度の揺れ(まず間違いなく座席ベルト着用のサインがついていると思いますし、普通は誰も席を立とうとは思わない位の、それなりの揺れです)が報告されていました。この雲の上はほぼ乾燥した寒気で、280 hPa(地上およそ 9,500 m)で圏界面となっています。

 一方、名瀬は、沖縄那覇市よりはだいぶ北に位置しますが、地上 5,000 ないし 6,000 ft に雲があり、その下では北寄りの風が卓越しています。ジェット気流の南の暖気側ですので、圏界面は観測されていません。320 ~ 330 hPa(地上およそ 8,300 m)が上空の前線帯に相当すると思われます。傾向としては、那覇の気象と似ています。

 ちなみに、同日午後 8 時から 9 時の間の沖縄那覇、フィリピン・マニラ空港の気象情報は、それぞれ以下のようでした。

 

沖縄・那覇空港(ROAH / OKA) 

251200Z 01021G32KT 9999 -SHRA FEW025 SCT030 BKN045 16/11Q1025= 

251130Z 36025KT 9999 -SHRA FEW025 SCT030 BKN045 16/11 Q1025=

251100Z 36023KT 9999 -SHRA FEW025 SCT030 BKN050 17/11 Q1025=

フィリピン・マニラ Ninoy Aquino 空港(RPLL / MNL)

251200Z 110015KT 070V160 9999 FEW025 SCT100 28/23 Q1014 NOSIG RMK A2994=

251100Z VRB06KT 9999 FEW025 28/23 Q1013 NOSIG RMK A2991=

 

 那覇は気温 16 ℃程度で、低い雲から時折雨がぱらつき、北東の風風速 10 ~ 15 m/s では体感温度は一桁ですね。一方、高気圧が覆っているのはフィリピン北端までのようなので、マニラは東南アジアの気候そのものです。

 

 夏と比べて、冬は確かに行動の制約を受ける気もしますが、しかし冬には冬ならではの良さがある、凛とした冬の毎日が歳を重ねるごとに好きになっていく気もしています。とはいえ、コロナ禍でなかなか国境を越えた移動が難しくなって久しい今、暖かい東南アジアでのんびりしながら一杯飲みたいねー、と改めて思う今日でした。

 

 本日も最後までお付き合いどうもありがとうございました。

既にあるよりも近づいてくるものに注意? - 2021.12.15 - 近づくジェット気流の先端 -

「うまく行かないこと」ってありますよね

 いろいろ言ったところで、やはり「~れば、~たら」ほど意味のないものはない…。

 そうです、やっぱりうまく行かないよりは、単にラッキーでもうまく行く方が良いものです。少なくとも、気持ち的には楽です。

 とはいえ、全てが予想されているとしたら、おそらくそれは安心というよりは退屈かもしれません。一方、予想を裏切られ続けるとしたら、それもおそらく苦痛としか言えなさそうです。

 経験やレビューは、見通しを徐々に正確にしてくれますが、完璧な対策ではありません。むしろ、単にそれ以外に方法がないということでしかないとも言えます。そういう意味で、「失敗は成功の元」という言葉は、事実であると同時に、それ以上に希望なのかもしれません

 ということで、本日は『近づくジェット気流』についてレビューをしたいと思います。

 

総取り、あるいはトレードオフ

 冬のジェット気流と呼ばれる強風帯の風速は、それほど強くなくとも時速 200 km/h 以上で、新幹線の速さ 300 km/h を超えることもしばしばあります。強風帯の軸の中は、風速が安定しているため、渦が出来ず、揺れがほとんどないからです。もっとも、そうした向かい風の中を飛行することは、例えて言うならば、3 歩進んで必ず 1 歩下がることを繰り返して目的地を目指す方法です。風速が大きい時には、当然ながら飛行に要する時間は長くなります。

 定時運航が商品価値の一つである以上、揺れが許容できるのであれば、向かい風の弱い所を選択し、定時運航に余裕を持たせようとするのは、ある意味運航者の職業的本能とも呼べます。もっとも、運悪く前線帯を避けることが出来なくなった場合には、いわゆる気流の悪い中の飛行となり、場合によっては、快適という別の商品価値を損なうことにもつながりかねません。

 寒気と暖気のせめぎ合いにより、天気図上で東西に走る強風帯が南北に上下する場合には、それに合わせた予想は立てやすいですが、強風帯の蛇行している時や変化が大きい時、強風帯が接近してくる場合等は、どの程度の影響があるかはなかなか見通しにくいものです。

 

理由を見出せない状況

 12/15 午前は、東日本では前日までと同様の平和な揺れの無い状況でしたが、琵琶湖を超えた辺りから、20,000 ft 台中間以上の色々な高度で揺れが始まり、揺れの無い高度があまり見当たらないような状況だったようです。

 ということで、松江と潮岬の高層大気の観測値を見ながら、西日本の状況を振り返ってみることとします。

f:id:ohigehige:20211216223917p:plain

 上図は、いつものように気象庁の高層気象データをお借りして図示した、2021 年 12 月 15 日午前 9 時における松江(左)および潮岬(右)の大気鉛直方向の気温および露点、そして風の分布です。

 昨日の記事で見たように、24 時間前には松江でも潮岬でも、気温は 1000 hPa から 100 hPa に向かってほぼ一定に下がっていましたが、一日経過した 12/15 には、300 hPa 辺りに対流圏界面が形成されたことがはっきり見て取れます(ご興味のある方は見比べてみて下さい)。

 国内悪天予想図によれば、それまでなかった、九州北部~瀬戸内海上空の高度 29,000 ft(およそ8800m)に軸を持つ 110 kts の強風帯が、同時刻に描画されました。

 過去の記事『県界面付近の揺れ』でも書きましたが、圏界面付近は渦が無い時には揺れが無く平和そのものですが、渦が出来ている時には、相対的に安定成層である分、その状況が解消するのには時間がかかるように思います。

 

 なぜこれほど顕著に気温変化が現れたのかは、裏付けのあるきちんとした理由は正直分かりませんが、強風帯の位置が、前日から九州西~南部に中心を持つ高気圧が位置していたことから、高気圧域と、その北の寒気域の温度差が 1 日以上経過して顕著となり、寒帯ジェットの形成に至った、その結果、強風帯寒気側、強風軸高度辺りに圏界面が形成された、という状況であったのではないかと思ったりします。

 

 ですが、この日、午前 9 時にはそれまで何の悪天予報も無かった西日本に、29,000 ft に軸を持つ強風軸が予想されていることを運航が始まる前に入手出来ていれば、あるいは高度選定の見通しは変わったのでしょうか…。それはさておき、私は、終わったことは数歩で忘れてしまうため、今日もこうして忘備録を残して行くのです。

 

 本日も最後までお付き合いどうもありがとうございました。

西風実に強けれど揺れず - 2021.12.14 - ジェット気流の前線帯を考える

氷点下の朝

 昨日今日、ついに成田空港でも早朝の気温が氷点下となりました。ついに本格的な冬に突入してきた感があります。冬の早朝、どういうわけか成田界隈はよく冷えます。都内の街中と比べると 5、6 ℃、東関東自動車道から空港道に入ってからも、数キロの間に、時には 2 ℃位は気温が下がります。日の出前の冷えた朝には、成田と札幌新千歳の寒さ争いに、興味津々だったりします。

 

気圧配置と強風帯の不思議

 ラニーニャの影響で今年は寒くなる、と言われています。もっとも、地上天気図の気圧配置的には、少なくとも今のところは、西高東低の冬型の気圧配置というよりは、移動性の高気圧と呼んでいいのではないかと思えるような日が少なくありません。揚子江界隈から張り出してきた高気圧が九州四国から本州を東進、その高気圧の北に位置する低気圧が北海道南部を通過して、等圧線の込んだ地域は、本州北部から北海道に限られているような印象を持っています。

 そのせいか、国内悪天予想図 (FBJP) には、早ければ 11 月半ばには日本近辺では 2 ないし 3 本のジェット気流と呼ばれる強風軸が、12 月に入った今でも九州南部~やや南に亜熱帯ジェット 1 本しか予想されていないことが多い気がします(詳しくは、例えば以下専門天気図 FBJP をご覧下さい)。

www.sunny-spot.net

 ただ、強風軸の予想されていない本州上空でも、軽く 100 kts を超える西風が吹いており、130 kts を超えていることもあります。通常であれば寒帯ジェットと呼べそうですが、温度勾配による前線帯が形成されていないためでしょうか、あるいは高気圧圏内で大気の成層が安定しているからでしょうか。晴天乱気流(CAT)の発生条件にばっちり当てはまりそうですが、数値予報上顕著な風のシア域とはなっておらず、実際ほとんど揺れません。

 

強風帯の前線帯の特徴の有無

 乱気流の予報域で実際にその強度の乱気流に遭遇することも確かに稀ではありますが、風のシアという渦の発生するポテンシャルだけでは、揺れの原因となる気流の乱れが生まれるわけでない状況に、今月は何度も遭遇しているため、風と温度の鉛直分布を見直してみることとしました。

f:id:ohigehige:20211215195654p:plain

 上図は、いつものように気象庁の高層気象データをお借りして図示した、2021 年 12 月 14 日午前 9 時における松江(左)、潮岬(真ん中)および館野(右)の大気鉛直方向の気温および露点、そして風の分布です。

 国内悪天予想図によれば、この時刻には、鹿児島上空~潮岬南約 200Km~房総半島南端 300Km ほどの高度 36,000 ft(およそ11000m)に軸を持つ 160 kts の強風帯が予想されていました。

 強風帯に近い潮岬では、300/250 hPa で 150 kts の風が観測されており、軸から離れた松江および館野における同高度では、90 ~ 110 kts 程度の風が観測されています。実際に航空機の飛行した 200 ~ 300hPa 周辺における本州の上空の風は、同程度の風向風速でした。

 強風軸の前線帯になりがちな 25,000 ~ 30,000 ft 辺りでは確かに風速は増えているものの、一方気温の不連続性は、全くないとまでは言いませんが、顕著には見当たりません。100 ~ 110 hPa 辺りの圏界面に向かって概ね定常的に気温が下がっています。むしろ下層における雲の有無に対応すると思われる高度の方が、逆転層のような不連続性がはっきり見受けられます。渦の発生するポテンシャルがあるからと言って、運航に影響を及ぼす渦が実際に発生するわけではないのは、気温がこのように定常的に減温して行くこと、つまり不連続性が顕著でないことが一因かもしれません。

 

 後付けで理由を考えてみましたが…、地上天気図等の気圧配置と合わせて予想するのが、現実的なところのようですね(すみません、全く定量的、法則的でないまとめです)。

 

終わりに

 ところで、移動性高気圧のような気圧配置に見えるということは、そうした気象状況は割と足早に変化して行くということです。それは、気圧の谷間が出来て天気がすっきりしなかったり、前線を伴った低気圧がやって来るということもあります。そして、状況にもよりますが、地上の天気が変化するよりも早く、あるいは顕著に上空の状況が変化する場合があります。本日 12/15 はそんな一日でした。お天気も人生もですが、理由の見出せない状況ほど対応に苦慮することはありませんね…。

 気象庁の高層気象データは、地点はやはり限られますし、発表時間も次の日になりますが、上空の観測データが見られるという点でやはり素晴らしいと思うこの頃です。気象を後から見直す場合には特にそうです。

 

 本日も最後までお付き合いどうもありがとうございました。

海陸風を見直す - 2021.12.05 松山空港 -

陸風の宝庫

 国土が狭いにもかかわらず、山がちで四方を海に囲まれ、おまけに島も多いとくれば、移動のためのコストは少なからず避けられない。日本の現実は、やはりここにあるといつも思います。もっとも、それは、豊かで多様な環境を享受できるということでもあります。食にせよ、生活文化にせよ、観光資源にせよ、それは自然の影響を大きく受けた多様性と言えます。

 移動の方法としては、陸上、海上、空があります。その規模については、大量輸送が必要な場面もありますが、個別輸送手段も不可欠な部分が本当にたくさんあります。

 今のところ、空については、概ね大量輸送が大半を占めているため、国土の制約の割には、日本は空港数が多いように思います。もっとも、制約や制限を設けたとしても、少なからず広い敷地を要する空港は、必然的に、郊外へ、海の側へ、はたまた海上へと押しやられる運命にあります。その結果影響を受けるものとしては、海陸風があります。総観規模の気圧配置に比べれば局地的ではありますし、海と陸の境界の存在する場所には海陸風の発生する状況が存在するので、そういう意味では日本では至る所で、海陸風が見られる、と言えるのですが、その中であえて例を挙げるとすれば、例えば、夏には宮崎(RJFM/KMI)、あるいは冬には松山(RJOM/MYJ)等があります。

 

陸風とは

 海陸風は、陸地と海の温度差によって風が生じる現象で、一般的には、日中帯は熱せられた陸地で上昇気流が相対的に強くなり、結果として海から風が吹き込みます。一方、海は熱せられにくく冷めにくいことから、夜間には陸地と比べて相対的に温度が高くなり、結果として陸地から海に向かう陸風となります。もっとも、熱の伝導には時間がかかるので、太陽が南中した時間から少し時間を経て地面温度が最高となり、更にそれに遅れて、最高気温を迎えることとなる、というのはご存知の通りです。

 では海陸風と思われる状況が顕著に表れている時の海面水温と気温はどうなっているのでしょう。

 上の図は、気象庁の日別海面水温からお借りした、2021 年 12 月 5 日の親潮域における海面水温の分布です。松山空港周辺の海面水温は、18、9 ℃となっています。

www.data.jma.go.jp

 一方、同日の松山空港(RJOM/MYJ)における、午前 9 時(00Z)から午後 9 時(12Z)までの支障の推移は以下の通りでした。

METAR RJOM 051200Z 11005KT 9999 FEW030 08/02 Q1028= 
METAR RJOM 051100Z 12004KT 9999 FEW030 BKN/// 08/02 Q1028=
METAR RJOM 051000Z 11006KT 9999 FEW030 BKN/// 09/02 Q1027=
METAR RJOM 050900Z 07003KT 040V100 9999 FEW030 10/01 Q1027=
METAR RJOM 050800Z 04006KT 9999 FEW030 11/03 Q1027=
METAR RJOM 050700Z 02013KT 9999 FEW030 12/03 Q1026=
METAR RJOM 050600Z 02014KT 9999 FEW030 12/02 Q1027=  
METAR RJOM 050500Z 36016KT 9999 FEW025 13/02 Q1026= 
METAR RJOM 050400Z 35013KT 9999 FEW025 13/02 Q1027=
METAR RJOM 050300Z VRB03KT 9999 FEW020 12/01 Q1027=
METAR RJOM 050200Z 01009KT 340V040 9999 FEW020 12/02 Q1028= 
METAR RJOM 050100Z 06005KT 360V120 9999 FEW020 SCT040 11/02 Q1029=
METAR RJOM 050000Z 15003KT 110V190 9999 FEW020 07/03 Q1028=

 午前 11 時頃から海風がはっきり見て取れるようになり、午後 5 時過ぎるとはっきりしなくなっています。一方、陸風については、午後 7 時以降、午前 9 時頃まで卓越しています。海陸風の影響のみとは断定できませんが、海風の時間帯には気圧がやや下がり、陸風の時間帯にはやや上昇しています。

 

気温と路面温度の違い

 もっとも、気温自体は、海風が卓越する時間帯を通じて 11~13 ℃程度で推移しており、海面水温より高くはなっていません。地表面温度は日射によって、おそらく気温より高くなっていると思われますが、定量的に何℃くらい高くなるかを見積もるのは案外難しいようです。例えば、『気温 路面温度 違い』等のワードで検索をかけてみると、路面の材質や季節による違いなのに関する土木関連の研究結果がたくさん出てきます。

 精度や方法はともかくとして、実際に測定した方の例をあげれば、夏季に気温が 36 ℃程度であった時、日向の路面温度は 64 ℃、日陰は 30 ℃だったそうです。また冬季には気温が 3 ℃程度でも路面が凍結するそうです。

 松山空港の場合、遮るもののほとんどない日向ですので、日射がある時間帯には、路面温度は、冬季といえども気温より少なくとも 7 ℃以上は高くなる(つまり、空港表面が 19~20 ℃以上となる )時間帯があり、そういう時間帯には、空港表面は海面水温よりも高くなり、海風の卓越する状況が発生すると考えられます。

 海陸風が海と陸地の表面温度の差、つまり、日射による比熱差に起因していることから、気温を見て海陸風の発生時期を予測するよりは、日射の状況(つまりその日の天気)から予想する方が状況に即した予想が得られそうですが、晴れとか曇りという情報では、定量的になりませんね。冬季は日中 11 時から 5 時位まで海風になりやすいという、現場の経験則を出られませんでした(笑)。

 

 今日東京では久しぶりに曇空です。個人的には、気温よりも日が短くなったことで、季節が冬本番へと向かっていることを実感します。

 本日も最後までお付き合いどうもありがとうございました。

圏界面付近の揺れ - 2021.11.24 -

今年もそろそろ残りひと月ですね

 月末に次の 1 か月の仕事の予定が出る生活を続けて 20 年余り、ついに今年も年末までの勤務予定が決まりました。無事に過ごすことを第一に日々を過ごそうと心掛けているわけでは全くありませんし、気分のささくれ立つこともままあるにせよ、総じて大過無く過ごせてきたことはやはりありがたいことだと、年の最後のスケジュールが出るこの時期にはいつも、素直に感じます。

 

冬の始まりを感じるのはいつですか

 今月 7 日には立冬、22 日には小雪となり、季節は着実に進んでいます。一方で、意識していたとしても、日々の変化にはなかなか気がつかないことも事実です。東京では朝晩は確かに寒くなりましたが、日中は 17、8 ℃ほどになるので、実感として冬を感じるようになった、というよりは、季節感を意識して持とうとしている、と言えなくもない部分もある気がします。もっともこれは、東京ではというよりは、街中ではという方が正しいかもしれません。

 冬の始まりを確実に感じるのは一体どんな時でしょう。個人的には、そのシーズンに初めて舞う雪を目にした時かもしれません。

 高い山では早ければ、9 月末や 10 月初旬に初冠雪となります。もっとも、その時期にはまだ半袖で過ごしていることも多く、季節の移ろいどころか、いつまで夏が続くのか、涼しくなる日を心待ちにしている時期でもあります。

 紅葉が徐々に落ち葉へと変わり、降る雨が次第にその冷たさを増しても、東京では雪が降ることは稀です。そんなわけで、雲の間から日が差すことがあるにもかかわらず、流れ込む雪雲から雪が舞う景色は、私にとって、冬を感じさせてくれるこれ以上ない景色です。

 今年は 11/24 に千歳で舞う雪を目にしました。

 

圏界面付近が揺れた日

 先日『立冬雑感』で、冬に「成層圏下層を飛ぶ場合には全くと言っていいほど揺れない快適な飛行となる場合が多い」、と書いたばかりですが、昨日 11/24 は、その数少ない揺れる日だったようです。

 26,000 ft に強風軸を持つと予想された、佐渡島から仙台付近へと吹きぬける寒帯ジェット付近では、37,000 ft の高さでも、いかにも圏界面近辺の揺れ、という感じの状況が 10 分ほど続きました。ラジオゾンデによる観測では、必ずしもその地点の状況が観測されるわけではないのですが、やはり観測値を見てみたいと思い、館野と秋田の高層観測値を見てみました。

f:id:ohigehige:20211125234245p:plain

 上図は、いつものように気象庁の高層気象データをお借りして図示した、2021 年 11 月 24 日午前 9 時における館野(左)と秋田(右)の大気鉛直方向の気温および露点、そして風の分布です。

 館野では、310 hPa( 約 8660m)で第一圏界面となっており、その少し上の高度では、温度が一定どころか顕著に上昇しています(秋田の方は圏界面上で、概ね一定です)。揺れていたのは、この温度が上昇している高度付近( 290 hPa 周辺)だったようです。

 ジェット気流の軸付近や県界面直下には、ケルビン ヘルムホルツ波(K-H 波)と呼ばれる、鉛直方向に風のシアーや密度差を理由として波が形成される場合あり、これが揺れの原因となることが知られています。K-H 波は、トランスバースラインと呼ばれる雲として目に見える時もありますが、この時には、雲はなく、ジェット軸付近とも言えない気がしました。ただ、圏界面直上で、気圧が下がり温度が上がると、密度差は普通以上に大きくなりそうなので、そうしたことも一因にあるのかな、とちょっと感じた次第です。

 それにしても、館野と秋田の下層の気温と露点を見ると、太平洋側と日本海側の冬の天気の特徴が一目瞭然ですね。秋田では、700 hPa(3,000 m 位)まで気温と露点がほぼ同じで、雪雲が出来ていたことが窺えます。

 

 本日も最後までお付き合いどうもありがとうございました。

 

Windows 11 に upgrade

Windows 11 に upgrade 無事終了

 ちょっとどきどきしながらも、Windows 11 に upgrade しました。

 新しいものやバージョンの導入には賛否両論あるかと思いますが、私個人は、よほど致命的なこととならないものに関しては、ひとまず使ってみようかと思っています。不具合があった場合にそれを改めればいいのでは、という姿勢で十分です。新しいものには、過去の改善や新機能への挑戦が盛り込まれていますし、やっぱりちょっと楽しみでもあるからです。もちろん、computerを含め、必ずしもプラスに働くばかりではないことは、全く否定しません。

 ダウンロードを含め、1 時間 40 分ほどかかりましたが、現段階では特に問題ありません。むしろ、何もしていないのに動作が軽くなったようで、サクサク動いています。そして、window の角が丸くなり、かわいらしくなり、USB を抜いた時の音がちょっと変わりました。ひとまず無事終了のようで、windows 10 以上に快適に動いてくれています。

 

さて python は? - pygrib の調子悪くなった -

 python も基本的に元気に動くようですが、pygrib だけ調子が悪くなりました。ライブラリを使おうとしたところエラーとなったので、install し直したところ、wheel build error となりました。Error message には、Visual Studio 云々という長々としたメッセージが出ています。

 pygrib には ECCODES という C ライブラリが使われているようなので、多分 C++ の機能を使う何かが壊れたか、おかしくなったようです。これはおそらく、windows の upgrade のせいではなく、Windows 11 にするついでに、python を新しいバージョンにしたことが関係しているのではないかと思います。要するに、多分自業自得です(残念)。

 冬になると、航空機は成層圏下層を飛行することが多くなります。そういうこともあって、最近は日々の天気に直結する対流圏よりは、成層圏の事をもう少し知りたいと考えており、MSM 等の GRIB 2 形式のデータよりは、ラジオゾンデや別のデータを使おうかと考えていたので、 おいおい修正することとします。もっとも、昨年 Basemap から Cartopy に引っ越しした時にも少しの間、あれこれいじっていたことを思い出しました。

 

インフラから、もっと違う形の何かへ
 Windows とのお付き合いもかれこれ 30 年位になります。当初はコマンドプロンプトから win と入力して立ち上げる GUI アプリという感じもありましたが…。Computer のスペックの問題がなければ、新しいバージョンが無料で使え、インストールの準備ができたことと教えてくれるというのは、実に親切で便利なことです。OS は文字通り、生活インフラの一つであることを実感しました。

 現在使っている computer や smartphone 等、キーボードにせよタッチパネルにせよ、入力したものを処理計算して、結果を画面上にアウトプットするという道具としての形態は、完成されてすでに久しい形です。進化するとすれば、どのように入力を行い、その結果をどのように受け取って活用するのかという、人間側の利用場面、活用形態だとつくづく思います。インターフェースのデザインとでも言うのでしょうか。ただ、google glass のような眼鏡型端末では、得られる情報量が少なすぎるとやっぱり思います。個人的には、E-ink の製品がもう少しお手頃価格になってくれるのが当面の希望なのですが…。

 

 本日も最後までお付き合いどうもありがとうございました。